IPU環太平洋大学サステナブルブランドプロジェクト(扇野ゼミ)では、地域資源を活かした持続可能な社会づくりを目指し、さまざまな産学連携・高大連携のプロジェクトに取り組んでいます。
このたび、坂出第一高等学校・菓子工房ルーヴ・株式会社朝日通商との協働によって、香川県産の素材を使ったスイーツ「ハイスクールマフィン」が完成し、2025年5月2日より香川県高松市のかがわ物産館 栗林庵にて販売がスタートする運びとなりました。
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産学連携・高大連携で挑んだ「瀬戸内ブランド」づくり
本プロジェクトは、2024年5月7日に始動した産学・高大連携瀬戸内ブランドづくりの一環です。
坂出第一高等学校 食物科 製菓部の生徒たちと一緒に、香川県の食材を活かし、「地域・環境・人」に配慮した越境型ブランドを目指して商品開発に挑戦。その取り組みは、物流ニッポンをはじめ各種メディアでも紹介されました。
(下記の記事は、2024年5月17日物流ニッポンより引用)
扇野ゼミの学生たちは、高校生の想いを形にするため、商品開発のためのグループワークのリーダーとしてサポートしました。
2024年6月8日には、株式会社朝日通商が主催するビジネスコミュニティ「瀬戸内グローカルラボ」に参加し、生産者の声を直接聞きながら、試食会にも臨みました。
特に高評価を得たのが「みかんの皮を使ったタルト」。このアイデアをもとに、高校生たちは「両親の健康を想う、エシカルな親孝行スイーツ」というテーマで試作と意見交換を重ねました。
地域のプロフェッショナルとの協働
製造と監修を担当いただいたのは、香川県を代表する洋菓子店「菓子工房ルーヴ」様。
野崎幸三社長にはご多忙の中、坂出第一高校に何度も足を運んでいただき、素材選定や製法の指導、商品化の条件整理など、きめ細やかなご助言を賜りました。
販売を担う朝日通商の社員の方々とともに、
パーパス(存在意義):希少糖スイーツで家族の笑顔をつくる。
ビジョン(目指す未来):糖尿病で食べられないを無くす。
ミッション(果たすべき役割):希少糖を使ったエシカルスイーツを開発する。
といった理念も言語化し、ブランドとしての方向性を明確にしていきました。
ターゲットは「甘いものが好きなお父さん・お母さん」
ターゲットは、高校生の親世代──甘いものが好きだけど、健康や血糖値が気になるという方々です。
素材には、香川県産小麦「さぬきの夢」や米粉「おいでまい」、注目の「さぬき讃レモン」、果汁を絞った後の柑橘類の果皮の乾燥パウダーも使用し、おいしさをアップしながら食品ロスの削減にも配慮しています。
さらに、血糖値の上昇を和らげ脂肪燃焼効果が期待される希少糖(アルロース)を使用することで、健康に配慮しながら食べた後の罪悪感を軽減する工夫を凝らしました。
ネーミングは、ターゲットに近い朝日通商の社員の提案から、「ハイスクールマフィン」に決定。
プロの技術と高校生の情熱がかけ合わさり、何度も試作と調整を重ね、ようやく完成に至りました。
栗林庵での販売、そして社会貢献へ
販売先である「かがわ物産館 栗林庵」では、店長の杉本里香氏より、売れる商品の要素やパッケージ表現、広告表現に関して何度もアドバイスをいただきました。
栗林公園の駐車場敷地内にある栗林庵のお客様は、香川県内の方、県外の方、海外の方がそれぞれ3分の1ずつという割合。
平日でも途切れることなくお客様が訪れていました。
とはいえ、初めての本格的な商品開発に向けて、味・デザイン・言葉の表現に、何度も悩み、考え、試行錯誤の連続。
産みの苦しみを味わった先に、世代を超えて愛されるプチギフトスイーツが誕生したのでした。
なお、本商品の売上の一部は、坂出第一高等学校から地域の子ども食堂への寄付に充てられます。
「おいしい」が「やさしさ」につながる――そんな未来を目指して。